アルミ製ステーキ皿って何?鉄製ステーキ皿との違いや、IHでも使える3方式を徹底検証!
IH対応の厨房機器ならオーシン!設計・開発担当の創と申します。
本日は、フードコートや路面店で大人気の「アルミ製ステーキ皿」について、それぞれの特徴やメリット・デメリット、状況によってどれを選んだらいいの?という疑問について徹底解説いたします!
普段よりも大ボリュームで執筆いたしましたので、お時間のあるときにじっくり御覧ください!
目次
こんなところで使われている!アルミ製ステーキ皿
”アルミ製ステーキ皿をご覧になった経験のある方、いらっしゃいますでしょうか?”
そんな質問を街頭でしたなら、95%以上の方が「見たことない」と回答するでしょう。
ところが、皆さんの食べる外食チェーン店の中には、アルミ製ステーキ皿の特徴を最大限に活かした料理を軸に、急成長した企業があります。それが、「ペッパーランチ」です。イオンモールなどのフードコートや、街中で見かけたことがあるかもしれません。
この投稿をInstagramで見る
アツアツのステーキ皿の上に米と半生の牛肉を載せ、お客様が座席で混ぜて火を通す。スピードが命のフードコート業態で、多数のお客様を待たせずにお渡しする。
アルミ製のステーキ皿が1.4kgという軽量で、IHですぐに熱くなり、15分経ってもアツアツだからこそ為せる技なんです。
アルミ製の特徴って?
このページをご覧の皆様は、「アルミで出来た鍋」と聞くと、どんな商品を思い浮かべるでしょうか。きっと、「雪平鍋」や、「寸胴鍋」をイメージする方が多いかと存じます。
これらの調理道具を使う理由は、主に「軽くて扱いやすい」「熱が早く伝わる」の二点でしょう。
アルミ製のステーキ皿にも、同じことが言えるのです。アルミ製のステーキ皿は、同じサイズの鉄製ステーキ皿と比較すると「軽く」「熱が(全体に)早く伝わる」という特徴があります。
また、厚みを増やすことにより「蓄熱性が高い」という特徴を生み出すことができます。
鉄製 vs アルミ製 何が違うの?
一般的に世の中で使用されているステーキ皿、そのほとんどが鉄で作られています。
鉄製のステーキ皿と比較すると、アルミ製のステーキ皿はどのような違いがあるのでしょうか。こちらの表をごらんください。
1. 重さが違う!
鉄鋳物の比重は7.2g/cm^3であるのに対し、アルミ鋳物の比重は2.7g/cm^3と、鉄と比べると約1/3の重さになります。
2. 熱伝導率が違う!
鉄鋳物の熱伝導率が44~58.6W/(m・k)であるのに対し、アルミ鋳物の熱伝導率は96W/(m・k)と、鉄と比べると約二倍の熱伝導率を誇ります。
他にも素材による違いは複数ありますが、この2点を抑えておけばOKです。
3.硬さが違う!
鉄とアルミでは、硬さも大きく異なります。特に、ナイフやフォークはステンレス製のものが多いので、ガリガリと使ううちに塗装が剥がれてしまうため、メーカーでは非推奨だったりします。(とはいえ、実情は多くの飲食店でフォークとナイフを使用しているので、あまり気にする必要もないようです)
4.IH対応の有無が違う!
磁石のくっつく鉄のステーキ皿とは違い、アルミ製のステーキ皿は普通、IH調理器では加熱できません。
IHの上において電気を入れても、「ピー」っという音とともにエラーになってすぐ止まってしまいます。
アルミ製でもIHに対応させる3つの手法とは
さきほどの比較でも書いた通り、アルミ鋳物は優秀な反面「IHでは使えない」という弱点があります。
ところが、いくつかの手法を行うことで、本来IHでは使用出来ないアルミ製のステーキ皿をIH対応に変身させることが出来るのです!
1. 底面に薄膜を形成!「鉄溶射」方式
IH調理器が熱を生み出すのは、1mmにも満たない底の表面だけ。そんなIH調理器の特徴を活かして作られたのが「鉄溶射」という技法。
鍋底の表面に鉄の細かい粉を吹き付け、鉄で出来た薄膜を形成します。(そのままだと剥がれてしまう可能性があるので、オーシンでは更に強化コーティングを重ねたものをお作りしています)。
3mm程度の厚みがあれば、既製品に対しても出来るのが特徴で、これまでにも大きな鍋や深いバットなど、特殊な形状をIHに加工したこともあります。
また、外から見てもほとんど見た目が変わらないので、鉄鋳物と言われても気づきません。
ステーキ皿にとっては、側面の立ち上がりなど、曲面になっている部分にも薄膜を形成することができるメリットがあります。反面、強化コーティングをしても、やはり薄膜。200℃以下の保温としては最適ですが、肉に焼き目を付けたい!といった240℃程度まで加熱する使用方法にはご使用頂けません。
2. アルミとステンレスのあわせ技!ステンレス貼り付け方式
薄くてもいいなら板を貼り付けてしまおう!という、一見荒業のような方式。
実際、IHに反応させて加熱するだけなら、これでも充分だったりします。
具体的には、IH調理器が反応する底面に、形状を合わせたステンレスの薄板を作成します。
そして、耐熱性の高いシリコンでアルミとステンレスを接着!これだけです。
非常にシンプルな手法のため、イメージモデルのような一点物や、1mmほどの薄いアルミで作られた素材をIHに対応させるときに使っています。
ただし、耐熱性のシリコンも耐熱温度は220℃ほどですし、外から見ても貼り付けているのが見えるので、飲食店でのハードな利用ではあまり使われることのない方式でもあります。
3. 組み込めば外れない!ステンレス組み込み方式
最後にご紹介するのは、ステンレス組み込み方式!弊社が行っている中でも一番強力で、安定感の高い方式です。
アルミに膜をつけたり、薄い板を貼り付けても、長期的には「剥がれ」という問題からは逃れられません。
ではどうするか?最初から中に入れてしまえばいい!というのがこの方式。アルミの鋳物を作るときに、一緒にステンレスの板を組み込みます。
鋳物がステンレスを抱きかかえるようになっているので、240℃まで熱くしても、剥がれる心配はありません。
美観、耐久力ともに抜群のステンレス組み込み方式ですが、鉄溶射方式が選ばれることも多いのが実際の話。
ステンレス組み込み方式はその特殊性から、最低ロットが500枚から(鉄溶射方式は100枚から可能)。また、一枚あたりのお値段や金型代も一級です。
他には、細かい模様やロゴマークを入れたいときには、金型の自由が効きやすい鉄溶射方式に軍配が上がります。
性能が高い=みんなが選ぶ とはならないのが製造業の面白い所でもありますね。
結局、どれを選べばいいの?
ここまで長らく紹介をしてきましたが、自分の店ではどれを使ったらいいの?と迷ってしまいますよね。
そこで、わかりやすい見分け方をご用意しましたので、ぜひ参考にしてくださいね!
お客様が客席に持ち帰ってから、肉を焼く演出がしたい!
→IH組み込み方式のアルミ鋳物をお選びください!
ロゴを入れて、デザインにこだわったステーキ皿が欲しい!
→鉄鋳物、もしくは鉄溶射方式のアルミ鋳物をお選びください!
30枚、1店舗分でオリジナルのステーキ皿が作りたい!
→鉄鋳物、もしくは鉄溶射方式のアルミ鋳物をお選びください!
ステーキ皿のことで相談したいときはオーシン!
→072-964-0066までお電話下さい!厨房機器のスタッフが無料でご相談を承ります。
お問い合わせフォームから写真を送ることもできますので、ぜひ活用してくださいね!