【実例付き】IH調理器の家庭用と業務用の違いを紹介!比較する際に注意するべきポイントとは?

厨房機器を選定するなかで、違いが分かりづらいIH調理器。ガス使用不可のテナントで採用される場合がほとんどですが、なぜ家庭用ではなく、業務用のIHを使用しなければならないのでしょうか?

実際、飲食店でも家庭用IH調理器は使われています。

あなたが今、飲食店での導入を検討しているなら、業務用IH調理器でなければならない理由があるか確認しましょう。もし必要でないのなら、家庭用IHの使用をおすすめします

まずは業務用IHと家庭用IHの違いを確認し、互いの強みを確認していきましょう。この記事を読み終わったら、あなたが業務用IHか家庭用IHのどちらを選ぶべきか判断できるはずです。

1章 業務用IHと家庭用IHの6つの違い

基本的な部分として、業務用IHと家庭用の違いをリストにしてあります。

IH調理器はその形状から、以下の4タイプに分かれており、それらが家庭用・業務用と言われています。

この記事では、「業務用=据え置きタイプ」「家庭用=卓上タイプ」として解説いたします。

 家庭用IH業務用IH出力価格
卓上タイプ ~1400W5000円~20000円
ビルドインタイプ 2000W~3000W 
据え置き型 2000W~3000W120,000円~400,000円
埋め込み型 1400W~2500W 
 

卓上タイプのIH
家庭用:卓上タイプのIH調理器
ビルトインタイプのIH調理器
家庭用:ビルトインタイプのIH調理器
業務用:据え置きタイプのIH
業務用:据え置きタイプのIH調理器
埋め込みタイプのIH調理器
業務用:埋め込みタイプのIH調理器。本来は客席のテーブルに埋め込まれている。

また、本記事では家庭用(卓上)IH、業務用IHの代表を選び、標準的なスペックとして比較していきます。

卓上IHからは、Kakaku.comランキング常連、弊社のテストキッチンの標準機でもあるPanasonicさんのKZ-PH34(1400W)を。業務用IHからは、安定の加熱性能と高さへの耐性が素晴らしい中部コーポレーションさんのDD30TAB(3.0kW)を選定しました! それぞれのスペックは、こちらからご覧いただけます。

1-1 出力(火力)が違う

 火力ステーキ皿の加熱時間
家庭用(卓上タイプ)~1400W1分半~2分
業務用(据え置き型)2000~5000W2分半~3分

業務用IHと家庭用IHの一番の違いは火力です。

火力が高いほどより早く加熱できるので、提供時間を重視する場合は業務用IHを選択しましょう。

たとえば、卓上IHを業務用IHに変更することで、提供時間が1分も短縮できる場合があります。

常温のステーキ皿を240℃まで加熱する場合、家庭用IHであれば2分半~3分が掛かるところ、業務用IHでは1分半~2分で到達するのです。

 

1-2 電源が違う

 電力
家庭用(卓上タイプ)100V
業務用(据え置き型)

単相200V・三相200V

家庭用と業務用では、使用する電源も違います。

家庭用は100V電源(一般的なコンセント)を使用し、業務用電源は、ほぼ全ての機種で200V電源を使用します。

200V電源は100V電源と異なり、一つも使える場所がないこともあります。もし200Vの電源が使えないなら、電気工事を行うか、100V電源で使用できるIH調理器(≒卓上タイプ)を選択する必要があります。

そのため、設置する予定の場所にコンセントがついているか事前に確認することをおすすめします。

居抜き物件を利用する場合など、既にキッチンの電源が決められている場合には特に注意が必要です。

1-2サイズ(特に高さ)が違う

 型番奥行高さ
家庭用(卓上)KZPH-34304mm345mm54mm
業務用(据え置き)DD30TBB450mm600mm180mm

カウンターなど高さに制約のある場合には、卓上タイプのIHがおすすめです。なぜなら、業務用IHと家庭用IHでは、圧倒的にサイズが違うからです。

実際に、2機種のサイズを確認してみると、業務用は性能が高い反面サイズが大きくなっています。特に、高さの差は3倍以上にもなります。

通常の作業台の高さである800mmに置くと、卓上タイプでは作業面が854mmであるのに対して、据え置きでは980mmまで上昇してしまいます。作業しやすい高さを計測したHQLのデータベースから見ても、この上に鍋を載せて調理するには高すぎる、と言えるでしょう。

そのため、これから業務用IHを導入するなら、事前にIH調理器自体の高さを想定して作業台を決めることをおすすめします。

1-3プログラム(自動調理)の有無

 型番プログラム
家庭用(卓上)KZPH-34なし
業務用(据え置き)DD30TBBあり

家庭用にはなくて業務用にはあるもの、それがプログラム(自動調理)です。

これは、出力を100%にして3分、その後80%で5分といったように、自分たちで時間を設定し、調理を自動化する機能です。メーカーによって異なりますが、中部コーポレーションの場合は3パターンから選択できます。

ポイント飲食の現場では、少ないスタッフで調理を回すため、また、調理の品質を安定させるために、メニューごとで決めたプログラムを使用されるケースがほとんどです。

ちなみに、家庭用も機種によっては自動調理機能がありますが、こちらはメーカーが事前に設定したもの。自分たちのメニューにあわせて設定することは出来ません。

1-4 排熱性能が違う(長時間の連続使用)

 型番排熱性能
家庭用(卓上)KZPH-34
業務用(据え置き)DD30TBB

通常のスペック紹介で取り上げられない違いとして、排熱性能の違いが挙げられます。

一般的に、家庭用のIH調理器で想定される連続使用時間は30分~1時間程度。そのため、2時間を超えるような長期間の連続使用では、IH調理器に熱が籠もりエラーが発生するおそれがあります。

反面、飲食店での使用を基本とした業務用では、ピークタイムを含めた4時間程度の使用は正常な範囲内。加熱を続けても問題ないように、より高い排熱性能が備わっています。

常にフルパワーで加熱し続ける場合は、業務用IHをおすすめします。

1-5 価格帯が違う

 型番参考価格
家庭用(卓上)KZPH-3410,150円
業務用(据え置き)DD30TBB260,000円

ある意味一番大切な、価格について。

業務用IHは見積もりが必須な商品も多く、相場が不明という場合もあります。

家庭用のIH調理器は5000~15000円程度で十分購入可能ですが、業務用では10万を超えるものがほとんど。

10倍以上の価格差があると、それだけでできること、運用方法が異なってきます。

1-6 納期が違う

 型番納期
家庭用(卓上)KZPH-34即日~1営業日
業務用(据え置き)DD30TBB1週間~2ヶ月

また、製品のスペックとはことなりますが、購入時に検討しておくべき点が納期です。

家庭用のIH調理器は家電量販店やAmazonで気軽に購入できますが、業務用のものは最短でも1週間、基本的には2ヶ月ほどの余裕を見て発注する必要があります

さらに、ここ数年の影響により、製品の輸入に遅れが発生。「注文を確定しないと納期がわからない」といった状況も見受けられます。

オープンが近い場合には、間に合う機種に変更する必要が出るケースもあります。

2章 飲食店が業務用IHを採用する3つのメリット

さて、ここまで説明してきましたが、家庭用IH調理器が向かないケースも当然存在します。ここでは、弊社がこれまで立ち会った現場から、特に業務用IHを使用するべきと判断した3つのケースをご紹介いたします。

2-1 提供までの時間を短縮できる。高回転のメインメニューでの使用

火力は調理時間に影響します。フライパンを使用する箇所やメインメニューを加熱する箇所で家庭用IHを使用すると、提供時間が大幅に伸びるおそれがあります。

2-2 高温のステーキ皿の使用

ステーキ皿の加熱に使う場合も、業務用IH調理器を選択します。ステーキ皿は多くの場合、180℃~260℃ほどに熱した状態で提供します。(だからこそ、「大変お熱くなっておりますので触れないようにお気をつけください」という一言があるのです。

これほどの温度まで熱すると、当然ながらIH調理器自体に熱が籠もってきます。1枚や2枚であれば問題なくとも、飲食店で提供する枚数にもなると、家庭用IHでは排熱が追いつかず、結果としてプレートホットのエラーになり停止してしまいます。

・ 大容量のスープの加熱

保温の場合も、容量が多い場合には業務用IHを選択します。特に、沸騰状態を維持する必要がある場合には、IHからの加熱≧湯気からの放熱となる必要があるので注意しましょう。

2章 飲食店が家庭用IHを採用する3つのメリット

では、逆に飲食店が家庭用を選択した場合のメリットについて、1章で比較した内容をもとに3つの項目にわけてご紹介します。

2-1 金額が安く、交換が容易

家庭用IHは、その価格の安さにより追加の購入・交換が容易にできます。

たとえば、10000円の家庭用IHを毎年新品に交換したとしても、10年後にも業務用価格に届きません。

2-1 入手が容易

家庭用IHのメリットは、入手が容易であるということです。

なぜなら、家電量販店やAmazonなどのECサイトで気軽に購入できるからです。

たとえば、弊社でおすすめしている家庭用IHのKZ-PH34は、ほぼすべての家電量販店で店頭・ネットショップ共に常に在庫があります。

さらに、納期面で心配することが少なくなるほか、万が一のトラブルがあっても、すぐに替えを用意することが可能です。

2-2 軽く、持ち運びも簡単

家庭用IHは、軽く、持ち運びが容易というメリットもあります。

なぜなら、卓上タイプのIH調理器は1.5~3kgと、女性でも持ち運べるほど軽いからです。

また、移動が容易なため、キッチンのレイアウト変更も簡単。卓上ガスコンロのように、必要な際だけお客様のテーブルに持っていく使い方も可能です。

ちなみに、業務用の据え置きタイプは14~20kgほど。男性二人で動かさないといけないレベルですから、こちらは持ち運ぶことはできません。

2-3 省スペースで、キッチンを快適に使える

最後に、家庭用IHは省スペースで使用できます。

なぜなら一般的な業務用IHと比較して、家庭用IHは縦横は30%、高さは70%程度小さいからです。

そのため、カフェでの使用や居抜き物件で空間に制限がある場合にも、家庭用IHを選択することでキッチンにゆとりができます。

ちなみに、現在市販されている中で一番小さいIH調理器は、Dretec(ドリテック)のDI-218。なんと、20cm以下のサイズで使えてしまうんです。

3章 飲食店で家庭用IHを選択した3つの事例【実例あり】

では、実際に飲食店で家庭用IHを選択した店舗は、どのように運用しているのでしょうか。事例を交えながら、その実情をご紹介いたします。

3-1 キッチンでのソースの保温

少量しか必要としない、ソースや付け合わせを保温するには家庭用(卓上)IHで十分です。カフェのキッチンのような空間で採用されています。

3-2 つけ麺鉢の再加熱

キッチンではなく、お客様が使用する場所で使う道具は、家庭用のIHが適している場合もあります。誰が使うか分からないので、最大火力が低く設定されていることがメリットになるのです。

つけ麺店では、IH調理器をカウンターに設置することで、冷めてきたつけ汁を自分で再加熱できる仕組みを用意している場所もあります。

3-3 一人用しゃぶしゃぶ鍋の加熱

一人用のしゃぶしゃぶ鍋を提供する店舗では、埋め込み型のIH調理器の代わりに卓上タイプを使用するケースもあります。

多くとも1L程度の水分で十分なので、卓上タイプで火力は十分。一口あたりの金額、メンテナンス性の良さから選択されています。

神戸にある「レストラン桜坂」もそんな店舗のひとつ。特注のテーブルに卓上タイプのIH調理器を埋め込み、デザイン性も◎です。

 

まとめ 業務用IHでなければならない理由を探そう

これまで業務用(据え置き)タイプと家庭用(卓上)タイプのIH調理器を比較してきました。それらの違いをわかった上で、どちらを購入すれば良いのでしょう。

端的に申し上げると、「業務用IHでなければならない理由があれば業務用。そうでなければ家庭用」を選びましょう。特に業務用IHは高価な買い物になります。家庭用IHの使用を検討されている場合には、出店前に1つ購入し、実際に加熱することをオススメします。そのうえで提供時間や沸騰に満足できない場合なら、安心して業務用IHを購入できるはずです。

それでもまだ不安!という場合には、お気軽に弊社へご連絡ください。できる限りのアドバイスをいたします。